伝統の技が息づく 和楽器家の三味線

 

 一般的に「良い三味線とはどういったものですか?」という質問をすると、「金細だと良い音がするよ。」とか「綾杉彫りの胴じゃないと響かないよ。」といった答えが返ってきます。販売や演奏の専門家が言う事だから、なんとなくそんなものかと思いながらこれまで三味線という楽器を見てきていませんか?
 実は三味線を含め、良い音色の楽器というのは理論的に説明することが可能なんです。しかし、好みの音色には個人差がありますのでその答えは一つではありません。
 和楽器家では、多くの専門家のご意見、関連書籍、多くの三味線との比較、長年に渡り蓄積された経験を踏まえ、お取り扱いする三味線を厳選し販売ております。特に紅木三味線プレミアムシリーズは、一般的な三味線よりもかなり高額になりますが、国内No.1と言われるメーカーの職人が製作した特別な三味線になります。
 プロの奏者はもちろんの事、他店で高い金額の三味線を購入したのにその音色にご満足いただけなかったお客様や、紅木三味線の買い直しをしたくないとお考えのお客様は、ぜひプレミアムシリーズの三味線を候補にしてご検討してください。その違いに驚かれることと思います。

 

  ~ お客様の探し求めていた三味線がここにある ~
 
知っていますか?
 プロの奏者や大会上位入賞者が密かに愛用している三味線があることを・・・。
かなり高額なため、主に有名専門店でのみ販売されてきたワンランク上の三味線があることを・・・。
 
トチ・綾杉・金細などの見た目が重要視される三味線。実は良い状態で一生使える紅木三味線は意外と少ないんです。
伝統工法と計算し尽された理論との共演により生み出される日本製の三味線。それが和楽器家の紅木三味線プレミアムシリーズ。
ぜひその違いをお客様自身で体感してください。
 
Special Point 1 棹や胴に上品な艶がある。
 
 一般的に三味線の艶出しとして挙げられる方法は、生地仕上げ・油仕上げ・漆仕上げの3種類になります。中でも漆仕上げの三味線は、非常に手間と労力がかかるため基本的に高価な三味線になります。

 その中でも特にこのプレミアムシリーズの三味線は、漆の中でも最高級品といわれる伊勢漆(日本の漆を主な原料とする高品質な生漆)を贅沢に使用し、さらにその漆を幾重にも塗り重ねることにより、写真のように非常に上品で落ち着いた艶のある三味線に仕上がっております。もちろん漆を塗る前の下地の工程も、砥石の種類にもこだわり、徹底的に磨きあげられているのは言うまでもありません。

 このような方法で仕上げられた三味線は、見た目に高級感があるだけではなく、漆のミクロな塗膜によりこの艶を長く維持することができます。また棹が肌にふれたとき、生地仕上げの三味線などには無い柔らかさを感じる事ができるのも、このプレミアムシリーズの三味線ならではの特徴です。

 艶出しは非常に手間のかかる作業ですが価格への転嫁が難しく、そのため安価に製造する事を求められるメーカーでは最も作業を簡略化したい工程になります。そのような方法で製造された三味線は、購入時には他の三味線と変わらない、もしくはそれ以上の艶がありますが、購入後非常に短い期間で艶が無くなってしまいますので注意が必要です。

 
 
Special Point 2 接着剤を使用していません。
 
 現在販売されている三味線の多くは、胴や中木など接着が必要な個所に接着剤を使用しています。しかし、これは三味線に限ったことではありません。安価な量産品のバイオリンなどでも同様のことが行われています。
 本来ニカワを使用する部分に接着剤を使用しますと、作業効率がアップし楽器を安く生産できるようになります。そのため、安易に接着剤を使用した三味線が多くなってしまいました。では楽器の製作に接着剤を使用すると何か問題が起こるのでしょうか?
 楽器の製作によく使用されている接着剤は、ニカワに比べて非常に強力な接着力を持っています。楽器が安くなり、なおかつ接着力が強いので、良いことのように感じますが実際はそうではありません。必要以上に接着力が強すぎるのです。
 
【三味線を良い状態で長く愛用するためには、この写真の箇所がニカワで接着されていることが重要です。】
 
 長い年数楽器を使用していますと、色々な個所で修理や調整が必要になってきます。その際ニカワを使用してあれば、比較的容易に接着面を取り外すことができます。一方接着剤を使用してありますと、接着面を非常に高温にしなければ取り外すことができません。そのため修理の際、棹に亀裂が入ったり、狂いが生じてしまうことがしばしばございます。
 古いバイオリンの名器などが今でも素敵な音色を奏でることができるのも、実はニカワを使用しているおかげです。常に最高の状態で三味線を使用するためには、修理や調整は必要不可欠です。ぜひ三味線を選ぶ際には、購入後に修理をする事も考え、接着剤を使用していない三味線をお求めになられることが大切です。
 
 残念ながら接着剤を使用した三味線かを見た目で判断する事は、胴以外の場所ではほとんどわかりません。また安価な中国製の三味線などでも、ニカワをしようしてある場合もございますのでご注意ください。
【ニカワを使用した胴】【接着剤を使用した胴】
 
 
Special Point 3 丸打胴でも鳴る。金細になっていなくても鳴る。三味線は必要以上に高価でなくても大丈夫!
 
胴は綾杉彫になっていないと鳴らないのですか?
答えはNOです。綾杉胴でないと鳴らないという説明は、セールストークの一環の可能性があります。
 
【解説】
 三味線の胴に使用する木は、紅木三味線も花梨三味線も全て花梨を使用しています。花梨と一言でいうと全て同じ材質に感じますが、実際には堅さや緻密さなどが個体によってかなり異なります。また木の刳り方などもメーカーによって異なるため、同じサイズの胴であっても内部の空間容積が異なります。
 綾杉彫の音響効果が全く無いとは言いません。しかし綾杉彫りの有無よりも、胴に使用する木の質や刳り方などの方が音に対してはるかに大きな影響を及ぼします。
 プレミアムシリーズに使用してある胴は、綾杉胴だけではなく、丸打胴にも木質の良い材料を厳選して使用してございます。また刳りを強くすることにより胴内部の空間容積を大きくしてあります。
 和楽器家は綾杉胴でなければ鳴りませんとは言いません。丸打胴の三味線であっても、他メーカーの綾杉胴の三味線に負けない三味線をお届します!
金細の三味線の方が良い音がするの?
答えはNOです。金細の方が良い音がするという説明も、やはりセールストークの一環の可能性があります。
 
【解説1】
 紅木の三味線には、金の入っている三味線とそうでない三味線とがあります。(他に銀細などもございます。)では金の入っている三味線とそうでない三味線とは何が違うのでしょうか?
 紅木棹の価値は、トチの有無や木の堅さなどにより異なります。その中でも価値の高いもの、つまりトチが多かったり堅い木質のものが金細などになります。本来であれば消費者が混乱しないようにメーカー共通の基準を決め、その基準が厳格に適用されなければならないと思いますが、しかしその基準はかなり曖昧なものとなっています。そのため、本来であれば金を入れるのには適さないような材料にまで金を入れ、高級な三味線として販売している例もございます。
 そのような状況において、金細だから良い音がすると本当に言えるでしょうか?ちなみにトチの量も見た目の問題であり、良い音とは特に関係がありません。
 金細になると糸巻金具の品質がアップしますので、糸巻の止まり具合はよくなります。しかし上記の理由により、「金細の三味線 = 良い音の三味線」というわけではなく、実は「作りの良い三味線 = 良い音の三味線」ということになります。
【解説2】
 棹において構造以外で大切なことは、木の堅さ・木取りの正確さ・トチの3点が挙げられます。
 木が堅いと棹の減りが少なくなりますので、結果的にカンべり直し(上場通し)をする回数を減らすことができます。カンべり直しを繰り返すと、三味線全体のバランスが徐々に悪くなってしまいます。頻繁に演奏される方は、材質の堅さを第一に棹を選ばれることをお勧めします。ただし材質が堅くなると棹自体の重さも増しますのでご注意ください。
 木取りの正確さは長く三味線を使用するうえでとても大切な要素になります。特に木目に沿って正しく木取りがされていないと、結果的に棹のネジレや反りの原因に繋がってしまいます。実はこうした状態に陥る三味線もかなり多く存在しますので注意が必要です。
 トチの有無は、やはり見た目においてとても重要です。トチが多く入っているほど高級感が増します。予算に合わせてトチの入り具合を決定されると良いと思います。
 
 和楽器家のプレミアムシリーズの三味線なら、金額の高い安いに関わらず、とても良い音色を奏でることができます。三味線は、購入後にも張替え代や糸代などのランニングコストが必要になります。そうした点も踏まえ、お客様のニーズやご予算に合わせた三味線をお求めになられるとことをお勧めします。
 
 
Special Point 4 三味線の音色や演奏のしやすさにはバランスが重要です。
 
 
 

 

 

 和楽器家の三味線

 和楽器家でお取り扱いしております三味線は、花梨三味線・紅木三味線共に、当店が自信を持ってお勧めする高品質の日本製三味線になります。(紫檀三味線は木の特性上ネジレが起こりやすくお勧めできないため、当店ではお取り扱いをしておりません。)それは、長年培われてきた職人の伝統技術を後世に継承するとともに、各職人が責任と自覚を持って良い楽器を製造することが、結果的にお客様へ最良の楽器をご提供する最善の方法であると考えるためです。

  また当店ではメーカーや職人への価格交渉を行わず、より良い三味線の製造に最大限努力をし、高品質な三味線のみを提供していただくようにお願いをしております。そのため和楽器家で販売しております三味線は、一見するとあまり安く無いように感じるかもしれません。しかし、価格以上の満足感をお客様が実感できるものと確信しておりますので、ぜひ三味線をご購入の際は和楽器家をご用命ください。

 

 三味線の種類

花梨三味線(主に稽古用の三味線として使用されます。)

  • 価格が安い。(一般的に販売価格を安く抑える必要性があるため、品質よりも価格が重要視される傾向にある。そのため現在は海外製品が多数を占める。)
  • 軽い。(三味線が軽く仕上がるため、初心者の方や高齢者の方に扱い易い。)
  • 木が柔らかい。(素材が柔らかく加工が容易なため、修理の各種作業料が割安である。ただし棹に凹みが起こりやすいため、頻繁に使用される方には不向きである。)

紅木三味線(主に発表会や演奏会など舞台用として使用されます。)

  • 価格が高い。(非常に高価な木である。また堅く加工に手間がかかるため工賃が高い。)
  • 木が堅い。(耐久性が高いため良い状態で長い年月使用することが可能。)
  • 見た目が綺麗。(独特な色艶やトチと呼ばれる模様があり、見た目に非常に高級感がある。)
  • トチの有無や量によって価格に大きな開きがある。

 

 高価な三味線を購入したのに鳴らない。そんな経験をしたことや話を聞いたことはありませんか?
 三味線は、金細だから鳴る・綾杉彫の胴だから鳴る・高い金額を出したから鳴る、そうしたものだとなんとなく思っていませんか?本当にそうでしょうか?和楽器家では必ずしもそうではないと考えております。これまでの経験上金額は関係なく、よく鳴る三味線は基本的によく鳴ります。逆を言えば、いくらお金を出しても鳴らない三味線は基本的に鳴りません。
 それでは鳴る三味線と鳴らない三味線、品質の高い三味線とそうではない三味線にはどんな違いがあるのでしょうか?

 

 綾杉胴というだけでは三味線は鳴りません。
 三味線の胴の内部は空間容積が小さく、綾杉彫を施すことにより改善される音響的な効果は非常に小さく極めて限定的です。胴に使用する木は紅木三味線・花梨三味線問わず花梨を使用しますが、実は元々鳴る胴と鳴らない胴が存在します。
 では何が違うのか?それはよく響く花梨の材料を使用しているか、そして適切な刳りを施してあるかによる違いから起こる差になります。そのため、胴を製作する職人の技術や考え方により胴の音に差が出てきます。お近くに何丁か三味線があるようでしたら、実際に胴の木の部分を軽く叩いてみてください。一丁一丁響きが違いませんか?その響きこそがその胴の持っている音になります。
 綾杉彫は、木目が一定のグレードになると必ず入ってきます。つまり綾杉彫は響きのためという考え方よりも、むしろ付加価値と捉える方が適切です。もし仮に綾杉彫が音に多大な影響を及ぼすものであるとするならば、低価格の三味線にまで基本的に綾杉彫が施されると思いませんか?
 和楽器家では、花梨三味線を含め全ての三味線によく響く良質な胴を使用しております。
 
子持綾杉胴の内部の拡大写真 丸打胴内部の拡大写真
 

   
あの大きな津軽三味線の胴も寸法でみるとそんなに大きくないんです。

ちなみにあるメーカーの長胴太鼓(1尺4寸)の寸法は、鼓面直径42cm×胴の長さ57cmあります。

つまり、津軽三味線の胴と長胴太鼓(1尺4寸)の体積には約20倍の差があるんです。

 

 

 木取りについて。
 木には木目がありますので、三味線などの木工製品においては正確な木取りをすることが求められます。特に紅木三味線の棹は、トチの有無や入り具合が価格に大きな影響を及ぼしますので、トチが綺麗に入り、かつ適正な位置で木取りをすることがとても重要になります。しかし、中には紅木三味線をより良く見せるためにトチを最も重要視し、適正な位置で木取りをしていない三味線もございます。
 ではそうした三味線はどうなってしまうのか?答えは、棹が徐々にネジレたり反ったりしてきます。ネジレや反りは後での補修が困難な場合も多々ございますので、三味線をご購入の際は正確な木取りをしてあるかぜひご確認の上購入するようにしてください。

 

 三味線はバランスが大切です。
 三味線の音色の善し悪しを決めるポイントの一つは、棹と胴のバランスにあります。良い状態のバランスの三味線に、良い皮がしっかり張られ、良い駒、良い糸を使用すると、三味線は必然的に良い音色を響かせ始めます。もちろんそこに奏者の技術があわさることにより、三味線の潜在能力は最大限引き出されることになります。
 それではここで言う棹と胴のバランスとはどういうことでしょうか?簡単に説明しますと、ハと胴の下がりのバランスになります。ハとは、棹と胴の付け根の部分を指し示す言葉です。また下がりとは、絃を結び付ける音緒の部分がどれだけ下に下げてあるかを指し示す言葉です。実はこの部分、ある一定の基準はありますがメーカーによって若干の違いがあります。
 しかしこの部分は、絃の張力を決定する上で非常に重要な部分になります。(絃の張力は他にも駒の高さなどによっても変化します。)仮に下がりが少ないと、絃が駒を通して皮を押さえつける力が弱くなってしまうため音が上ずってしまいます。逆に下がり多すぎるとその反対で音が伸びずに詰まってしまいます。実はこの適正値が非常に微妙であり、職人の腕の見せ所にもなります。
 
三味線の仕込みの例

 

 

 棹や胴の形は同じではありません。
 棹や胴の形はどこで買っても同じと思っていませんか?実は結構違うものなんですよ。例えば、胴であれば膝の上で安定しやすい胴とそうでない胴があります。これはムクリが違うために起こってきます。棹であれば見た目にかっこいい形や持ちやすい形、ずんぐりした形や持ちにくい形、といったような違いがあります。
 その中でも棹のシャクリの部分は非常に手間がかかり職人としてはなるべく手間のかからないように済ませたいため、シャクリが強くなっている三味線もたくさんあります。そうした三味線は棹と絃の距離が離れてしまうため、演奏しにくい三味線になってしまいます。

 

 糸巻きについて
 糸巻きは音程を変えるたびに使用する所になりますので、三味線の使い心地を決める重要な部分になります。もともと糸巻きに使用する金具には、それぞれ必要な傾斜が付けてあります。その決められた角度に寸分の狂いもなく金具を打たなければ、決して使い心地よく使用できるように糸巻きを仕込むことはできません。これは非常に手間がかかり、かつ熟練した技術が必要な作業になります。
 
糸巻きと金具の仕込みの例

金具が適正な位置に打たれていないと糸巻きが滑りやすくなります。

 

 

 

他にも、木の乾燥や糸の切れやすさなど、見るべきところは非常に多岐に渡ります。それでも金細・綾杉・トチ・価格で三味線の真の価値を判断できますか?文章ではなかなか説明しきれない部分も多々ございますので、三味線についてご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください。

 

和楽器家では、お客様と三味線の素敵な出会いをお約束致します